「わさび」におけるテクスト連関
「わさび」の各話に見られるテクスト連関は以下の通り。
第一集
- '94.1/5 笠智衆
- 笠智衆は山田洋次監督「男はつらいよ」シリーズの御前さま役でも知られる名優。彼は小津安二郎監督映画「東京物語」の頃からずっと老人役を演じてきた。
- 3/21 ヨーゼフ・K
- ヨーゼフ・Kとはカフカの小説「審判」の主人公の名前である。結び付けるキーワードは「不条理」であろう。
- 4/17 隆之介INわんだあらんど
- ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」Alice's Adventures in Wonderland通称「アリス・イン・ワンダーランド」。
- 5/29 一徹
- 腹を立てた一家の主が食事の整えられたちゃぶ台をひっくりかえすという行為は、勿論梶原一騎「巨人の星」の主人公星飛雄馬の父、星一徹の決まり技である。
第二集
- 9/4 文学的に語られる朝
- この出だしは、太宰治「斜陽」の冒頭のパロディである。オリジナルではミソ汁でなくスウプである。
- 9/23 虫は原子核崩壊による量子猫の死を報せたのか
- 量子猫とは量子力学の逆説に出てくる猫のことと思われる。シュレディンガーの猫としても知られる。
- 10/1 わんわんわわん
- 迷子の迷子の小猫ちゃん、で始まる童謡「犬のおまわりさん」の歌詞の一部。
- 12/24 父は何でも知っている
- アメリカのホーム・ドラマ「パパは何でも知っている」から。
第三集
- '95.6/23 百年の孤独
- ガブリエル・ガルシア・マルケスの小説「百年の孤独」。雨の振り続く中三日間の無益な攻防。
- 10/15 理由なき反抗
- ジェームズ・ディーン主演映画「理由なき反抗」から。
- 12/7 犬の生活
- チャップリンの短篇映画に同題のものがある。
第四集
- '96.5/21 みんなのうた
- NHKの番組「みんなのうた」。
- 6/5 ねじの回転
- ヘンリー・ジェイムズの小説「ねじの回転」。
- 6/21 それから
- 夏目漱石の小説「それから」。
- 10/8 O・Henry玉子
- 「最後の一葉」「賢者の贈り物」などの心のあたたまる短編で知られるアメリカの作家O・ヘンリー。この話もひそかな思いやりによるささやかな幸せを描いている。
- '97.3/16 連作小説・森のくまさん
- いうまでもなく童謡「森のくまさん」である。
- 3/20 ふみの定義
- 「ある朝、私が何か気がかりな夢から目を覚ますと、」という出だしは、あまりにも有名で何度となくパロディ化されてきたカフカの「変身」の出だしである。ここでは「ふみが・・・巨大なおばさんになっているのを発見した」と続いている。
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